平成25年 終礼

平成25年12月28日(土)午後3:30~ 於:厚生棟大会議室


平成25年 終礼
━文化と文明、何を求めて生きるか━
皆さん、この1年大変お疲れさまでした。

平成25年も残すところ、あと3日となり、今年も終礼の日となりました。
去年より1日早く年末年始の休暇に入りますが、
合計8日間の休みに変わりはありません。

正確に云えば、去年は終礼の日の午後は、半日一斉有給消化にあてた事で、
その半日分が、今年より多くなりました。
どちらにしても8日間の長い休みを有意義に活用して、
心身共にリフレッシュできたら良いなと思います。

1年のうちに長い休みはこの年末年始と、5月連休更に8月の夏期休暇と、3回あるのですが、とりわけこの年末年始の休暇は特別なものです。

新年を迎えるという改まった行事と共に、「一年の計は元旦にあり」と云います。
この1年の反省とともに、新しい年を迎えて、今年はどんな年にしたいのか、
夢や希望をかなえるために、具体的な目標を作る作業が待っているからです。

ところで皆さんに聞いてみたいのですが、今年立てた目標は達成しましたか
達成できた人と、ほぼ達成できたと考える人は手を挙げてみてください。

そうですか、割合に少ないですね。遠慮しないで手を挙げて下さい。
欲張らずに現実をよく見て、一歩一歩確実に、目標を達成できたら、
充実した人生を送れるのではないかと思います。






それでは、会社の目標に対しては、どうであったかの話しに移ります。

昨年の51期は、フォローの風が吹いて、
追い風参考記録で実力以上の結果であったと話しました。

それを踏まえて、今年52期の売り上げ目標はマイナス9%と、
約1割減の見込みでしたが、結果はマイナス11.5%減の18億2,500万円となり目標を2.5%下回り、前期と比較すると、金額で2億3,600万円減となりましたが、
目標に対しては、5,100万円の減となりました。

しかし経常利益率は、目標の5%台を確保して、
先ずまずの成績ではなかったかと思います。

売上が、11.5%減の中で、前期同様の利益率が確保できたということは、
経営努力もさることながら、社員の皆さんの協力や努力があったからと、
この場を借りて感謝致します。

現在53期に入って、直近3ヶ月の数字を見てみますと、
売り上げでは前年同月マイナス15%、利益では前年比で半減と、
大変厳しい状況となっていますが、計画では通期で対前年比でマイナス3%の目標としています。

経常利益率の目標は据え置きの5%としていますが、
現状から見て、相当な努力をしなければ、目標達成は難しいと思います。

新規受注はほとんどありませんし、たまに話しがあるのは、加工屋さんが廃業することによる転注とか、QCDといって、品質、コスト、納期に対応できない、つまりお客様に満足してもらえない会社からの転注の話しが時々あるくらいです。

そのような仕事は、私達の会社で見積もりますと高くなってしまいます。
なるべく従来の価格を聞いて、近づける努力をするのですが、どうしても少しコスト髙になってしまいます。お客様にとっても困る話しなのですが、ベルクスにとっても、人件費がやっとと云ったところで、とても利益になるようなものではありません。

それでも廃業となれば、仕方がありませんから、お客様も転注するしかないのです。

私はそのような仕事を落ち穂拾いと云っていますが、
折角お客様が困って、ベルクスを信頼して、話しを持ってきてくれるのですから、
協力しない訳にはいきません。
これからもそのような話しは多くなってくるかも知れません。

残念なことに、お客様自体が、
コスト競争に負けて失注してしまう話しも数々耳に入ってきます。

そのような訳で、今年のコストダウン要請は一段と厳しさを増しています。
私達も今まで以上に真剣になって、仕事に取り組み、
お客様の期待に応えていかねばなりません。





丁度1年前になりますが、去年の12月に自民党第2次安倍政権が誕生しました。

安倍総理は、山口県の出身ですから、毛利元就の故事にちなんで、
3本の矢を中味にした経済政策、アベノミクスをスタートさせました。

3本の矢とは、大胆な金融緩和、機動的な財政出動と、成長戦略の3つです。
それを受けて株価は上がり、円安となりました。
実質経済が良くなった訳ではないのですが、先を見越しての、円安、株高です。
景気が良くなった訳ではないのですが、輸出産業は円安によって儲かり、
大企業は株高によって、企業価値が上がり、利益が出ました。

もちろん大企業ばかりではなく、個人も株価が上がる事により、
株を売り買いする人は儲かっていると思います。
ちょっとしたバブル状態なのではないかと思うのですが、
先ず円高で大変だった企業や、株安で不利益を被っていた大企業が利益を得て、
良い循環が起これば景気が良くなって、経済も廻り出すと良いなと、楽観論かも知れませんが、期待をしています。

どちらにしても私達まで良くなるまでには、まだまだ先の話しです。






さて次は品質について話しをします。
私からは8月の創立記念朝礼の中で、品質問題はあってはならない、
なくて当たり前の世の中になっている。
不適合というクレームを出さぬよう、全社を挙げて総力で取り組んで下さいという話しをしました。

みんなの努力で、着々と成果を上げつつありますが、実態はどうなのか、少し振り返ってみたいと思います。

3年前の50期には、年間33件の不適合件数がありました。
ISOでの目標は30%減の20件以下として活動してきましたが、
51期は23件となり、前期より10件減少させたのですが、
目標達成とはいかず、3件オーバーしてしまいました。

52期の目標は前期実績の23件に対して、30%減の16件以下としました。
結果はどうであったか、皆さん知っての通り、目標の16件以下に対して、
実績は9件となり、今年52期は大きな成果を上げることができました。

とうとう年間不適合件数は、1桁台になりました。

そして今季53期の目標は、9件の実績に対して、
30%減ですから、年間6件以下に抑えなくてはなりません。

ところがですよ、冒頭話した通り、世の中は不適合は無くて当たり前、お客様の要求は、あくまで0なのです。

百田尚樹(ひゃくたなおき)のベストラセラー『永遠の0(ゼロ)』ではないけれど、
正に永遠に0を目標にしなければなりません。

52期は単月で0の月が5回ありました。
11月と、1月、4月、5月と期末の8月の5回です。

今年平成25年は1、4、5、8、10、11、12月も0ですから、7回です。
年間通しては勝ち越しです。

53期としては9月の期首に1件出してしまい、出だしは悪かったのですが、その後は現在まで0となっています。
このまま継続は力なりで、0の月を重ねて行きましょう!

第54回全国品質月間に対する、品質標語やポスターの募集には沢山の応募ありがとうございました。

皆さんの品質に対する決意や意識レベルの高さに感心してしまいました。
いよいよ実力が備わってきたんだという自信とたゆまぬ努力をしつつ、年間不適合0を目標にして、それが達成できた時は、皆さんと共に喜びを分かち合いたいと思いますので、頑張って下さい。

参考までに、現在の月平均の出荷件数は、約3,500件、一日当たり175件となっています。
数量で見ますと、納入個数は月1,000万個、一日では50万個です。

品質管理部門における検査件数は月平均600件、1日当たり30件です。
その他段取り初品の検査、試作品検査、依頼品の検査等があります。
出荷件数と、検査件数が合わないのは、製造ロット毎の検査をしていますので、カンバンによる、分割同ロット納入のためであり、無検査での出荷品は一切ありません。

更には、QAステーションによる工程内検査と、営業業務部整品室による、一部全数検査品があり万全を期しています。

しかしながら気をつけねばならないのは、そこに人がかかわるために起こるミスがあります。ヒューマンエラーです。
ですから最後は、「品質は人質によって作られる」とも云われています。
日々研鑽を重ねていかねばなりませんし、油断はできません。
大変ですがそれが仕事というものです。






今年は富士山と和食が、世界文化遺産となりユネスコに登録されました。

文化に対する言葉に文明があります
たとえば世界の四大文明とか、明治の文明開化とかに使われます。

私が最近読んだ本の中に、大変印象に残った言葉を見つけて、それをノートに書き留めておきましたのでここで紹介します。それは、

文化とは、節度やつつしみ、質実や簡素、忍耐や我慢、自制や寛容といった概念であり、
 文明とは、豪華やぜいたく、浪費や強気、開拓や教化、自信や多弁といった概念である』というものです。

正に、反語に近い解釈であり、本質を突いているなと感じました。

そこで私が思ったのは、殺伐としたグローバル経済等というものは、ここで云う文明そのものであり、そればかり追い求めていたら、いつか破綻をするに違いない。
5年前に起こったリーマンショックもしかり。

2年以上もう1,000日を超えたあの恐ろしい、東日本大震災という自然災害、それに伴う文明の象徴ともいえる原発の、水素爆発を伴いメルトダウンを起こしたレベル7という最大級の事故、復興するにはまだまだ時間がかかります。

更にはその後も異常気象や自然災害は世界中で起きています。

正しく文化の本質である、節度やつつしみといった考えを取り込んで反省をして、バランスのとれた生産活動や、人間生活を営んで行く必要があると考えます。

強欲な資本主義経済を続けていると、第2、第3のリーマンショックや自然災害が起こることは、必然のことであり、想定しておかなければなりません。


同時にそのための備えも必要であり、人任せの生活から、1%でも良いから自己完結力を増やしていく努力が必要です。
それを自助努力といいます。「天は自ら助くる者を助く」とも云います。

最近の防災訓練でも、自助、共助、公助という言葉が使われています。
先ず自らを助ける、次にお互いに助け合う、最後に役所や自衛隊という公共に助けてもらう。

初めから他人頼みはダメですよ。
自衛隊は別格として、市役所の人も、消防の人も、初めは同じ被災者なのですから、直ちに助けに行くことはできません。

自分の命は自分で守る。
助けてくれなかったと人を責めても、失った命は帰ってきません。


社会的な経済破綻が起きた時も、同じことだと思います。
備えあれば憂いなしとゆきたいものです。






余談になるかもしれませんが、私達家族が3年近く取り組んでいる事があります。
一部の人は何をやっているか、知っていることなのですが、石の上にも3年で、ここらで公表しても良いかと考えています。

こそこそとやっているつもりはないのですが、話しをさせて下さい。

私のカミさんは、10年いやもっと前からになるかと思いますが、小さな畑で家庭菜園をやっています。娘が評して曰く、おかあさんは普段ボーっとしてあてにならないが、文明から遮断されると実力を発揮する、等とからかわれています。

いつしか私も引きずられて、今では堆肥作りや、管理機まで買い込んで、畑を耕したりして助手を務めています。

そうこうしている内に、立派な作物や、出来の悪い野菜もできます。
立派な作物は沢山採れたりすると、近所におすそ分けしたりします。
たまにお返しがきたりして、時にはエビでタイを釣った等と喜んだりしています。

その内に私も男ですから、小さな畑では物足りなくなってきて、古い農家の空き家を畑付きで、捨て値で買うことになりました。

さあ、それからが大変です。そこはゴミ屋敷だったのです。

産廃業者に見積もりを取って廃屋同然の物置も含めて、片付けてもらいましたが、
藪の中から粗大ゴミのテレビ、洗濯機、冷蔵庫、自転車から腐ったバイクまで、ありとあらゆるゴミの山です。

危険な物もありました。それは農薬やガラス欠け、ビン欠け等です。
それらを分別しながら、業者に処分して貰うのですが、藪の中までは業者はやってくれませんから、私達が土日に取り出します。とうとう産廃業者がギブアップです。
もう勘弁してくれという事で、追加料金を払って引き取って貰いました。トラックで10台分ぐらいあったと思います。

畑付きでといいましたが、そこはもう10年も20年もの耕作放棄地ですから、背の高さを超える程の雑草やヨシやセイタカアワダチ草等が生い繁り、木や孟宗竹までニョキニョキと生えています。畑というよりは原野です。

私たちは開拓農民になりました。

晴れた日の土日は、朝から晩まで、額に汗して等というものではなく、夏などは体中汗まみれ、泥まみれで、近くに流れる小さな川の中に服を着たまま、体ごと浸かって洗いました。水はいくら飲んでも汗で流れてしまいます。

トイレの近い私でも、用なしです。
喉が渇いてもお茶やジュースは受け付けません。
水道の水が一番うまいという事がわかりました。脱水症状も体験しました。

そんな事をしても、今のところ何の利益にもなりません。
が、本来美しいはずの日本の里山を荒れ放題にして置くわけにはいかないし、

環境を整備するのも世のため人のため、綺麗になったところを見て、心も美しくなったような気がします。本当なんです。大袈裟かもしれませんが、そういう満足感がなかったらやってられません。

荒れ地の田んぼも耕して、菜の花やレンゲの花の種を蒔きました。
花が咲くと綺麗です。

ある時車から降りて写真を撮っている人がいました。
綺麗なので写真に撮らせてもらっています。と、その人は言いました。
私まで嬉しくなりました。



農作業をやっていると、気が付くことがたくさんあります

そのひとつに、農産物は、私達の工業製品とは違うという事です。
マニュアル通りにはいかないし、何しろ自然が相手ですから、臨機応変の処置をしていかなれければ良い物はできません。
工業製品を作るより難しいと感じています。勉強になります。

その辺のところを私達の仕事に活かす事ができないかと考えています。

何しろ相手は生き物ですからね、私達の工業製品も、生き物としてとらえて見る視点もあるのかな等と思ってみたり、色々です。

農業を本業とする人に云わせたら、駆け出しの素人のヒヨッコが何をつまらぬ事をいっているかと叱られそうですが、これだけは云えます。

理屈抜きで、無償の行為に喜びを感じます。少々疲れたりしますが、心地良い疲れです。近くの人に感謝され、ここに住んでくれ等といわれます。
そういう人と人とのつながりの中に、ほのぼのとした幸せを感じます。
中には、金を出すから仲間に入れてくれという人までいます。

現代社会の生活には無い何かを感じるのでしょうか?

余裕があるからそんなことができるんだと云われそうですが、余裕が無いからこそやるべきではないかと思います。
暇にあかして遊んで、金と時間を使うより、有意義だし何より幸せを感じます。

最近更に借地で農地を拡張していますので、皆さんも仲間になってみませんか?幸せを分かち合いたいと思うのです。
週に1日でも良いから、仕事として取り組んでも良いかなと考えています。
2人か3人でよいのです。交替でも良いし、別に強制はしません。

最近出た本に、『里山資本主義』というのがありますが、私が思っていた事がすべて網羅されている良い本です。興味があったら是非読んでみて下さい。





さて余談が長くなってしまいました。

今年もみどり会活動を立派に充実した内容で、計画通り実施していただきありがとうございます。
会長、副会長、役員の皆さんに感謝致します。

社員の皆さんも協力してくれました。今年の忘年会も大変盛り上がりました。
余興も大変楽しく、時の経つのも忘れてしまう程でした。
まさしくこれは、忘年会でした。聞けば3ヶ月も前から練習をしていたとか、店の人もしばし手を休めて見ていたようです。
こんな忘年会は近頃みたことないとか云っていたそうですね。
お開きとなり、私は代行さんが来て帰りましたが、かなりの人は、二次会へと繰り出したようですが、楽しくやったことでしょう。
何事もなく無事に済んだと聞いて、当たり前ですが安心しました。

さて、みどり会の会長、副会長も立派に務めを果たして任期満了となります。

第17代会長の天城リーダー、副会長の岡村さん、2年の間大変ありがとうございました。合わせて今年の役員の皆さんも感謝致します。

次の会長、副会長もすでに内定していますが、社員の皆さんの承認を得て決定となりますので、よろしくお願い致します。

それでは第18代の会長には、製造5の藤波リーダー、副会長には営業業務の増田さんを会社より指名させてもらいます。
よろしかったら拍手をもってご承認をお願いします。
・・・・拍手、ありがとうございました。

それでは新会長の藤波リーダー、副会長の増田さん、来年からの2年間、よろしくお願いします。

これで、平成25年の終礼とします。
この1年の皆さんの協力に重ねて感謝致します。
ありがとうございました。来年も共々に頑張って良い年にしましょう。





平成25年(2013年)はこんな年

共同通信社など在京の新聞・通信8社の『社会部長が選ぶ今年の10大ニュース』より

 1.特定秘密保護法成立、「知る権利」議論に
 2.2020年東京五輪・パラリンピック決定
 3.異常気象相次ぐ、伊豆大島で土石流災害
 4.徳洲会事件摘発、猪瀬都知事にも波及
 5.参院選で安倍自民大勝、ねじれ解消
 6.福島原発の汚染水問題など震災の影響なお深刻
 7.衆参の1票の格差に初の違憲・無効判決、最高裁は衆院「違憲状態」
 8.東北楽天日本一、マー君24連勝、被災地に元気
 9.アルジェリアのプラントで人質事件、日本人も10人死亡
10.柔道などスポーツ界で体罰問題相次ぐ



 

2013年12月31日