平成29年8月7日(月曜日)午前8時
於:厚生棟大会議室

平成29年8月 創立記念朝礼

創立記念朝礼(五十七周年)

株式会社ベルクス
  代表取締役会長 佐藤 務

皆さんお早うございます。
毎年8月の月初の朝礼は創立記念朝礼となります。
私達の会社はお陰様で、57周年を迎える事が出来ました。
去年の創立記念の朝礼では、「世界的大事件を通して見た会社の56年」というテーマの元にお話しをしたと思いますが、それから1年の間に世界の政治や経済に大きな変動が起きています。

目次


◇激変する世界と日本

先ずイギリスでは国民投票によるEU離脱が決まり、首相が変わりました。
そしてヨーロッパでは各地でテロが頻発し、多くの犠牲者が出てフランスでは非常事態宣言が出ました。
フィリピンでは異色の大統領が選出されました。
アメリカでは予想に反して共和党選出のトランプ大統領に決まりました。
フィリピンのドゥテルテ大統領もアメリカのトランプ大統領も、
共に過激な発言が多い事は知られる通りです。
特に世界に大きな影響力を持つアメリカの大統領の方針は、
アメリカファーストと言ってアメリカ第一主義なんです。
ですから移民は受け入れないと言って、メキシコとの国境に壁を作るとか、
イスラムの国々からの入国制限をするとか、今までアメリカが中心になって進めてきたTPPからも離脱しました。そしてアメリカが輸入する物には多くの関税をかけて、
海外で生産している物はアメリカ国内で生産をするように大号令をかけています。
又、環境問題では地球温暖化対策のパリ協定からも脱退してしまいました。
このようにアメリカが不利になるような事からは遠慮会釈もなく、
近頃流行語の忖度のカケラもありません。アメリカファーストを実行しています。

~ メディアの尻馬に乗るな ~

そして日本国内の政局はどうかと言うと、まるでコップの中の嵐そのもので、世界の大局には無関心の如くに見えます。森友学園の土地払い下げ問題やら、加計学園の獣学部新設に絡む、不正があったとかなかったとかで大騒ぎしていますが、これは主としてメディアによる安倍叩きに他なりません。
私も決して問題がないとは思いませんが、もっと重要な問題が山積しています。
メディアに踊らされずに私達国民はもっと冷静になって考えなければならないと思います。

~ “忖度” とは ~

先程、忖度という言葉が流行語のようになったと言いましたが、メディアの安倍叩きに中々、確固たる証拠が出てこない物だから安倍首相の気持ちを忖度して部下が指示をした事は、行政を歪めたなどと問題にしています。そもそも忖度をする事が悪い事のようになっていますが、そんな事はありません。
辞書を引いて見ても、忖も度もはかる意で、他人の心中を推し量る事、推察、つまり相手の気持ちを忖度する事となっています。
これは日本人であれば相手を慮る、自分より他人を優先させて自分が我慢する自己犠牲の精神であり、古来からの日本人の美徳でもあります。
聖徳太子の十七条憲法 ※1(下部注釈参照)第1条の「和を以て貴しと為す」も、そのような優しい心が無ければ成り立たないのではないかと思います。
残念な事に、最近の日本人はそのような心が薄れてしまったのでしょうか。トランプ大統領のマネをして新しく東京都知事になった小池さんが、都民ファーストの会などという団体を立ち上げて、都議会議員選挙に打って出まして、圧勝しています。変な世の中になったものです。
所詮民主主義などと言うものは、自分さえ良ければ良いと考える大多数の人間によって決めるものなのでしょうか。
それは利己主義というものであって民主主義ではありません。
ここいらで世の流れに流されるのではなく、確りと自分の頭で考えて、正しい判断をして行かなければならないと考えます。


◇憲法についての歴史認識

憲法の話しになりますが、第2次安倍政権になって、去年の参議院選挙で与党の議席が3分の2を超えた訳ですから、早速にでも憲法改正に着手するかと思いましたが、中々そうはなりません。
あれから1年以上もたって、やっと最近安倍首相が憲法改正について発言をしました。
それによると憲法9条の1.2項はそのままにして、自衛隊の存在を明記して付け加える案を示しました。しかもそれを2020年までに達成したいと言っています。
私は変な事を言い出したなと思っています。
何故ならすでに憲法改正自民党草案と言うものがあって、新聞にも発表されています。そこには今回の発言、自衛隊の存在を明記する等というチマチマした内容ではなかったと記憶しています。
気持ちは分かるのですが、遠慮する必要はありません。
この民主主義国家で国民の信認を得て、国会議員の3分の2以上の議席を有する自民党の総裁として、又日本国の総理大臣として、正々堂々と命懸けで新しい日本国憲法を作ってほしいと思います。
< ところで皆さん世界で一番古い歴史のある国は、どこの国か知っていますか?
それは私達の国、日本なんです。
神武天皇以来万世一系の天皇と言う元首が、連綿として続いている国は日本以外にはないのです。
そんな話しを聞けば、中国とかいう国が文句をつけて来て、我々の国は4000年以上の歴史があるとか何とか言うでしょうが放って置けば良い話しです。彼らの国の名前は自称、中華人民共和国とか言っていますが、人民も共和も和製漢語といって、れっきとした日本語なんです。日本ではその頭と尻尾を取って中国などと言っていますが、世界では通用しません。
では何と言うかと言いますとチャイナ(CHINA)です。建国の歴史は68年しかないのです。
次に憲法ではどうかと言うと、近代憲法を最初に制定したのはアメリカの合衆国憲法と言われていますが、アメリカがイギリスから独立した時に作られたので、たかだか230年くらい前の話しです。
その後度々改正をしていますので、制定以来一度も改正していないのは戦後アメリカに押付けられた今の日本国憲法です。
全く自慢にもなりませんが70年間一度も改正していない世界で実質、一番古い憲法なのです。
それ以前明治22年には、日本人自らの手で作られた大日本帝国憲法※2(下部注釈参照)がありますから、日本での近代憲法は130年前に作られたことになります。
更にはこの大日本帝国憲法の元になった精神は明治維新の直後に明治天皇による、五箇条の御誓文なのです。
古くは飛鳥時代に作られた聖徳太子の十七条憲法 ※1(下部注釈参照)は1400年も前です。
日本の国の歴史を正しく理解し誇りを持って、少し乱暴な言い方かも知れませんが憲法改正など考える事なく、今の日本国憲法は無効にして、全くの新しい自主憲法に作り替える事も、正しい選択の一つだと思います。
何故ならば今の日本国憲法は、占領下に無理矢理に制定された国際法に違反した憲法であるからです。
政治家がこんな話をすればたちまち叩かれて失却してしまうから言えないのですが、本当の話しをすれば叩かれるというのはおかしな世の中です。
言論の自由など無きに等しいと思います。
言論の世界である多くのマスコミ関係者は、何を考えているのか疑わしく思います。
話しの流れで憲法について個人的な考えをお話ししてしまいましたが皆さんは私の話しを聞いて、そんな考え方もあるのかという程度の理解でも結構ですが、興味のある人は文献等を調べて見てください。
そして時代に流されるのではなく、自分なりの考えを確立してください。
それが日本人としての大人の責任だと思います。


◇素敵な外国人との交流

話は変わりますが、ある人の紹介で先日の土曜の朝、私の家で外国人と私的な出合いがありました。(趣味のバイクが取り持つ縁で私のバイクを貸して一緒にツーリングをしてきました。)
その人は45歳のオーストラリア人の男性です。
日本へは仕事の関係で来てから5年だそうですが、日本語も覚えてしまいました。
まだ、完全ではありませんが。
驚いたことに1年半前には、日本人女性と結婚した新婚さんでした。
そして歴史が好きで今は武田信玄を勉強しているそうです。
信玄といえば当然のように「風林火山」※3(下部注釈参照) の話を出してくるのです。
私が「疾きこと風の如し」のあれですね、というと即座に「徐かなること林の如し」と返してくるのです。
日本人のくせに、いい年をして知らなかったら恥をかくところです。
源氏物語にも興味があるそうです。恐ろしいですね。
今度会うまでに源氏物語を読んでおかなくてはと思いました。
ジャスティンという名前でしたが、なんと日本酒の辛口が好きだと言うので、夏のビールもうまいといいながら、日本酒も3本程4人で飲んで楽しく夜を過ごしました。
私の孫が高校生で英会話の勉強がしたいと話に加わり、英語の夜間教室まで開いてしまいました。
日頃私は孫達に言っているのですが、英会話も日常会話だけ覚えても話にならないよ、文化や歴史も確り勉強して、自分というものを確立しておかないと話にならないぞ!と言っているのですが良い勉強になったと思います。

奥さんになった日本人女性にはまだ会ってないですが、ジャスティンの屈託のない誠実な人柄に魅力を感じて結婚したのではないかと思います。
ちなみに年齢は41歳だそうです。
私達の会社にも独身の社員がいますが、いつの日か素敵な出合いがあって、幸せな家庭を築くことが出来たら良いなと思いながら、翌日の朝食の後、又お会いしましょうと言って見送りました。


◇経済  ~タカタ・東芝問題から考える~

話を戻しまして、政治と経済とは密接な関係にあります。
アベノミクスによって日本の経済はゆるやかな回復傾向にあると発表されています。
そんな中でタカタ、東芝問題が起きています。
特にタカタさんとは13年程前まで取引きがありました。
多い時は月商5000万程ありましたから、当時の私達の会社にとっては重要な取引先でもあったのです。
事情があって取引きを断念したのですが、今となってはそれで良かったなと思います。
皆さんも知ってのとおり、エアバックの欠陥問題で負債総額は1兆7000億円という最大規模の民事再生法の適用を受けました。事実上の倒産です。
安値で後を引き継ぐ会社はアメリカのエアバックのライバルメーカー、そしてその親会社はチャイナの会社だそうです。重要保安部品であるエアバックで品質問題を起こすと大変なことになります。私たちの会社でも重要保安部品の生産をしています。製造物責任をトコトン問われる時代です。
他山の石として、気を引き締めて仕事に取り組まなくてはなりません。
ちなみに、タカタは創業84年という会社です。
東芝は創業142年、日本を代表する総合電機メーカーですが、不正会計問題から原子力部門の巨額な赤字、その赤字をごまかすために粉飾決算を行ない、経営危機に陥りました。
不採算事業からの撤退や、1万4000人規模の人員削減と配置転換というリストラを行なっても足りず、唯一ドル箱の三重県四日市市にある半導体事業を売りに出しています。
この半導体事業部門は外国に買収されると、日本の先端技術の流出となり、この世界での国際競争力が失われてしまいます。
しかし、東芝が目指す売値は2兆円、国内の企業にその力がありません。
シャープはすでに台湾企業に買収されています。
もし又、海外企業に買収されてしまうと、日本国内の多くの産業の衰退の始まりになりかねません。心配です。
このように東芝の問題は東芝だけの問題ではないのです。
グローバル化した経営の、複雑にからみ合う利害関係の中で、経営の舵取りは大変難しいのですが、経営の進路を間違えると大変なことになります。
現在、東芝は東京、名古屋の証券取引所において監理ポストに入っています。そして、一部から二部へと降格されました。
こうしてこの1年を見てきても、表面に表れた問題だけでもこれだけ大きな変動があります。このように、グローバルな経済至上主義にも、陰りが見えて来ているような気がします。
政治の世界ではそれが一層際立って見えます。
つまり、グローバルからローカルな多極化へと、世界は進んでいるのではないでしょうか。私達もそのような大きな流れに影響を受けない訳にはいきません。
すべてにおいて、油断なく物事を進めて行くことが、ますます大事になってきていると思います。


◇会社の近況

前段の話が長くなってしまいましたが、そんな中での私達の会社の近況についての話に移りたいと思います。
先ず7月にはオークの決算のまとめができました。
対前年売上に対しては92.2%と約8%の減少となりましたが、材料費や外注加工費の減少により、売上総利益では129.7%と増えました。
経常利益でも117.5%と売上が減少しても利益は増えています。
しかし期中に導入した、政府の補助金を受けた最新鋭設備の自己負担分の特別償却を行なった結果、最終利益は83.8%と前年に対して16.2%の減少となりました。
大きな設備償却負担をした上での数字ですから、大変良い決算だったと思います。
ベルクスの決算は8月末ですので、まだ数字は固まっていないのですが、大体の見通しは立っています。
4期連続のマイナス成長も漸く歯止めが掛かり、今期末までの目標である二桁成長が実現する予定です。
お陰様で4年間に亘る売上低迷も5年目にしてやっとプラス成長となります。そうなりますとすべての内容が良い方向に向いてきます。この7月には昇給賞与も平均で2%を超えることが出来ました。
昇格等につきましては、厚生労働省の進める準社員、パート社員等いわゆる正社員以外の非正規雇用の、キャリアアップを推進して正社員への転換といった、処遇改善に対する助成制度があります。
私達の会社でも毎年実施してきたのですが、折角の政府の制度を活用した方が良いですよという労務管理の先生の奨めもありまして、今キャリアアップ計画書に従って就業規則の変更等の手続きを行なっています。そのため2ヶ月か3ヶ月掛かってしまうのですが、その間は待っていただく様お願いします。
会社の業績が良くなればすべてが好転します。
今期56期の業績について決算が確定するのは10月中旬となります。詳しくは11月の社長朝礼を通してお話しします。
真夏の暑い盛りですが体調に気を付けて、油断なく安全作業と、品質における不適合を出さぬよう頑張ってください。
今週末からは1週間の夏休みに入ります。休み明けには、この暑さも峠をこえることと思います。夏休み前の土曜日には、みどり会の納涼祭もありますね。役員の皆さんには大変だと思いますが、よろしくお願いします。
最後になりますが、週末には久しぶりに皆さんに喜んでもらえるような事があると思いますので期待してください。
それではこの1年に感謝しつつ、以上で57周年の創立記念朝礼と致します。
ありがとうございました。


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【注釈】(インターネットの百科事典ウィキペディアより抜粋 2017.08.31)

※1 十七条憲法(じゅうしちじょうけんぽう)は、推古天皇12年(ユリウス暦604年)に聖徳太子が作ったとされる、17条からなる法文。憲法の名を冠してはいるが、政府と国民の関係を規律する近代憲法とは異なり、その内容は、官僚や貴族に対する道徳的な規範が示されており、行政法・行政組織法としての性格が強い。また、神道に、儒教・仏教の思想が習合されており、法家・道教の影響も見られる。

※2 大日本帝国憲法は、1889年(明治22年)2月11日に公布、1890年(明治23年)11月29日に施行された、近代立憲主義に基づく日本の憲法。短期間で停止されたオスマン帝国憲法を除けば実質上のアジア初の近代憲法である。1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行まで半世紀以上の間、一度も改正されることはなかった。

※3 風林火山(ふうりんかざん)は、甲斐の戦国大名・武田信玄の旗指物(軍旗)に記されたとされている
疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山
(疾(はや)きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し)の通称である。


2017年08月07日