【平成21年 終礼】
-厳しい年を乗り越えて-
平成21年12月25日(金)16:30~ 大会議室にて
皆さん、今年一年大変お疲れ様でした。
今日は平成21年12月25日、終礼です。本来なら明日に行なう予定の終礼も、
明日は操業短縮日として今日となりました。年末年始の休みも客先と同じです。
10日間の連続休暇となります。ですから、終礼も時間短縮です。
その分私の話も少し手短にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
この一年を振り返って見ますと、受注減少による操業短縮に始まり、
明日の最終日も操業短縮で終わることとなります。
今年一年の間で実にベルクスで44日、オークでは62日もの操業短縮となりました。
これは平均稼働日数が21.6日/月から見ますと、通常の休日の他に今年は、
ベルクス、プラッツで2ヶ月、オークでは3ヶ月に近い操短となりました。
受注は、年初の30%減から、春先には70%減、
夏から秋口にかけて30%減、そして年末には20%減まで回復してきました。
ベルクスの生産現場の実感としては、
すでに元に戻ったと思える程になってきたのではないでしょうか。
ならば何故20%減かといいますと、ベルクス、オークの連結で考えますと、
まだ売上ベースでは20%減となってしまいます。
それは操短日数の違いを見てもわかる通り、新規の試作や、
金型の受注が減少したまま、回復が大変遅れているからです。
まったく話しが無いという訳ではないのですが、なかなか決まりません。
それには色々事情があります。新規開発の予算がないとか、
仕事があっても、内製化であるとか、円高で海外生産にするとか、
何よりコスト対応力がないと話になりません。
世の中デフレで、収入が減れば支出を抑える、安いものしか買わないから、
物が売れない、売れないから企業の売上が上がらない、そうすると又、
世の中が不景気になる。これを繰り返すことを、デフレスパイラルと言います。
このデフレスパイラル現象をいかに押さえるかが今後のカギとなります。
今、民主党政治となり、「必殺事業仕分け人」とか云って、
予算案に異議を唱えて、片っぱしからこれはムダだからやめろとか、
削れとか見直しとか云って粋がっていますが、あれが政治家のやることかと私などは思います。政治家に政治理念があるならば、パソコン片手にケチなことを云っているヒマがあったら、この困難な経済をいかに立て直し、国民に夢と希望を持たせるかを考えることの方が大事な仕事ではないかと思います。
ましてやその様子を、一般公開とやらでテレビにも映して、
世論調査ではカッコいいとか、評判がいいとかのマスコミの報道ですが、
もし本当だとしたら、日本人もおしまいですね。
皆んなであれを見て、あれもムダこれもムダと財布のヒモを締めて、
使うべきお金を使わなかったら、経済は廻らなくなります。
正にデフレスパイラルを助長させているようなものです。
景気が悪く税収が落ち込み、39兆円しか収入がないのに、予算案は95兆円、
それを「必殺事業仕分け」で高々3兆円を目標に予算を削って、
92兆円にしても、その差額の53兆円を又々赤字国債を発行して、
つまり借金をして、子供手当等でバラまく予定のようです。
税収を上回る借金は、敗戦後の昭和21年度予算以来だそうです。
しかも税収を大幅に上回る規模で・・。
(実際の事業仕分で現在削減できた金額は6,800億円)目が点になりそうです。
1兆円の札束は見たこともありませんが、数字で書くと1に0が12個も付きます。
1万円のお札は厚さが0.1ミリですから、100万円は10ミリつまり1cm、
1,000万は10cm、1億円で1メートルになります。
そうして計算すると、1兆円は?何と10km、積み上げると富士山の2.65倍、
世界一高いエベレストを遥か下に見下ろす高さになります。
借金はこの53倍です。しかもそれは1年で使ってしまうのです。
次の年度の予算も、このまま行くと税収は、予算の半分以下は確実です。
どうするつもりなんでしょう。
こうなったら日本の本当は優秀な官僚に期待するしかありません。
今私たちの一番の心配は、景気の2番底があるのではないかと云う事なのです。
去年の終礼では、目からウロコの話をしましたが、
今年は目が点になる話になってしまいました。
今度は目を足元に向けてみましょう。私達の会社の業績の話になります。
すでに皆さん知っての通り、ベルクスの8月決算で約7,000万円の赤字、
オークの5月決算で1,000万円の赤字、
今年の決算は合計で約8,000万円の赤字となりました。
私達の会社は、ベルクスとオーク、そしてプラッツと、3社に分かれていますが、
ベルクスは輸送用機器、つまり自動車用部品を中心とした、
プレス部品の製造を主としている会社です。
オークはその金型及び周辺設備、機械等の製造販売の会社、
そして、ベルクスの100%子会社です。
プラッツは、現在、ベルクスの持ち株会社で、12月が決算となります。
社員はベルクス、オークから移籍していますが、生産はしていません。
売上はありますが、人件費相当分で相殺され、
利益は特に求めない、今のところ±0の会社です。
ですから、営業の中心はベルクス、オークとなり、
今年の成績としてはこの2社の合計の8,000万円の赤字が残念ながら、
マイナスの業績として残りました。
10月の末から11月にかけて、債権者である銀行や仕入先に対し、
決算書を持って説明に廻ってきました。
特に資金面でバックアップしてくれた銀行さんに対しては、
そのお礼と、色々な努力をしたのですが残念な結果となりました、
今後も引き続きよろしくと、お願いしましたところ、
良くここまでに押さえる事ができたですね、色々とアドバイスをしても、
打つ手が遅く、大変なことになっている所も多い中で良くやった!と大方そのような評価をいただきました。
又、仕入先の大手である阪和さんは、与信管理の厳しい会社ですので、
同様の説明をした後で、半ば冗談に、こんな大幅な赤字決算書では、
今後材料を売ってもらえませんね、と言った所、何を云います!こんなご時世に黒字の決算書を持って来たら、何か悪いことでもしたのではないかと疑ってしまいます。
それどころか今、取引先の倒産等で大変なことになっています。
ベルクスさんは長い取引で信頼しています。
近いうちにコストダウンに協力したいので頑張って下さいと、
大変好意的なお話をいただきました。有難いですね。
更にはその夜、明日は土曜日、泊まって今夜は一杯やりましょうと、
住金の岡山さんも交えて、大変お世話になってしまいました。
これもひとえに社員の皆さんの理解と協力があってのおかげと感謝しています。
過去に無い非常に厳しい一年ではありましたが、
これで何とか、年を越すことができます。
良い時には良いように、悪い時には皆んなで努力し、協力をした結果です。
特にこの度の会社方針である、ワークシェアリングに対しては、
その事を良く理解していただきまして、文句も云わず協力してくれました。
会社としてもできるだけ公平に、仕事に影響の無いようにと配慮したつもりですが、
行き届かなかった所もあったと思いますが、どうでしたでしょうか?
その他にも非常事態ということで「業績悪化に伴う経営見直し事項」についても
数々協力をしていただきました。本当にありがとうございました。
皆さんの気持ちは、11月20日に提出していただいた、考課表の中に表れていました。
年に2回出していただいているのですが、その中にコメントを書く欄がありまして、
ほとんどの社員が記入をしています。更には上司のコメントも付いています。
私はそれを読むのが楽しみで、
今回はどんな事が書かれているのか心配もしていました。ところが・・。
会社に対する不満や苦情みたいなものがほとんど無く、
皆んな仕事に前向きで、明るく、希望を語り、元気に努力している姿がありました。
それは現場で毎日見て知っているのですが、
この際だから胸の内をぶつけて文句を言ってやろうとか、
愚痴ってみたり、ダダをこねたり、同僚や上司の悪口のようなことを書いたものは一切ありませんでした。
こんな時ですから、少しはあるのではないかと思っていたのですが、
感心しちゃいました。と同時に、これは大丈夫、これならこの不況も切り抜けられる、そして、明日があるぞ!!と勇気がわいてきました。
来年はその夢や希望が一つずつかなえられる年にしましょう。
何、今年だって悪い年ではないんですよ!
皆でこの厳しい年を乗り越えることができたんですから、良い思い出にしましょう!!
社員のレベルが高いという事が確信できたんですから、これは会社の無形の財産です。
日本人には昔からある五つの徳目というのがあります。
それは、仁、義、礼、智、信です。
道徳教育の時間も今は少なくなってしまいましたが、あるんですね。
私達日本人の遺伝子の中に残っているんです。
これについては、時間がないので省略しますが、
新年の社長朝礼の中で話が聞けたらいいですね。
皆さんの前で申し送り事項にしておきましょう。
今年の年度テーマは「先見」です。
先見の明という事で、何事も先手先手と対応してきた一年だったと思いますが、
来年も後手に廻らぬ様にしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
終わりになりますが、今年はみどり会(親睦会)の会長と副会長の任期満了に伴い、
次の会長、副会長を選任しなければなりません。
現会長の中村チーフ、副会長の杉田さん、
去年から今年にかけて大変な時代になってしまい、催し事も自粛となり、
不完全燃焼気味であったと思いますが、
こんな時代だから隠れた苦労もあったでしょう。
2年の間、役員の皆さんと共に良くやっていただきました。
大変ありがとうございました。次の会長、副会長もすでに内定し、この終礼時に、
社員の皆さんの承認があって決定となりますので、よろしくお願いします。
それでは、第16代の会長には、製造部の山下次長、副会長には、
品質管理の河原崎典子さんを会社より指名させてもらいます。
よろしかったら拍手をもって、ご承認をお願いします。 (拍手)
ありがとうございました。
それでは新会長の山下次長、副会長の河原崎典子さん、
来年からの2年間よろしくお願いします。
それからもう一つ話があります。
これは来年の2月末で今期の上期が終わります。
3月からの下期には一部組織見直しを行なう予定ですが、
その時に専務のことを公表すればよいかなと考えていたのですが。
本人からどうしてもケジメをつけてもらいたいとのことなので、お話しします。
実は、専務は前期末の決算が確定した10月26日の第48期株主総会において、
専務取締役を退任しました。
引き続き業務は変わりなく継続しておりますので、
敢えて発表するのは先でもよいと考えていたのですが、
本人の申し出なのでここに公表します。
今後は技術顧問という立場で、引続き業務の推進をします。
来年からは宮下顧問と呼んでください。仕事内容は変わりないのですが、
これからは後進の指導に力点を置いて仕事を進めていくこととなります。
宮下はまだまだ元気です。創業のころからの社員ですので、
もうすぐ勤続50年になります。社員から役員となり、勤続表彰はありませんが、
今後も会社に在籍していますので、
皆さんもぜひとも専務の良いところを沢山吸収して、立派な社員となってください。
来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、鬼が笑おうが笑うまいが、
来年は確実に創業以来、満50周年を迎える年となります。
今年のマイナスをできるだけ沢山取り戻し、皆さんと共に祝うことができるように、
これからも頑張りましょう。まだまだお話したいこともあるのですが、
時間の制約もありますので、平成21年度の終礼とします。
この1年の皆さんの協力を重ねて感謝いたします。どうもありがとうございました。
それぞれに良い年を迎えてください。以上で終礼の挨拶とします
。