平成22年8月 創立50周年記念朝礼




創立50周年記念朝礼

2010年8月2日(月) AM8:00~ 於:大会議室


おはようございます。今日は創立50周年記念朝礼ということで、30分くらい掛けて大切な話をするつもりですので、確り聞いて下さいね。それでは始めます。





早いもので100年に1度と言われた、
リーマンショックによる世界同時不況が発生してから、
間もなく2年になろうとしています。

当社も去年の決算は、大赤字となりました。
夏の賞与も例年の3分の2となり、皆さんには辛抱をしてもらいました。
経済の方もようやく明るさが見えてきまして、
リーマンショック以前の70%から80%くらいに戻ってきています。
戻ってはきているのですが、まだまだ油断はできません。
しかしながら努力の甲斐あってベルクスの今期の業績は、目下順調に推移しています。

そのような中で今日創立50周年を迎えることになりました事を
皆さんと共に喜びたいと思います。

社員の皆さんをはじめ、関係するすべての人のお陰であると深く感謝いたします。
まだまだ世の中不況の最中ですが、私たちは恵まれています。
有難いことではありますが、手放しで喜ぶことはできません。

世の中全体の景気が良くて、明るい時ならば、
30周年記念の時のように盛大に祝うこともできるのですが、
今はそういう時ではありません。30周年の時も、今考えてみれば、
直後にバブル崩壊、バブル不況が起こったのです。
そして失われた10年とも失われた20年とも言われています。

「勝って兜の緒を締めよ」といいます。
喜びを内に秘めて、次の50年に向けて、新たな出発の日としましょう。

そのような訳で、今年は夏の賞与も例年よりプラスαの復活となりました。
昇給も昨年はゼロでしたが、今年は充分とはいえませんが、
去年のことも考慮して昇給を行ないました。7月の給与明細をよく見て下さい。

折に触れていつも話しをしますが、
「良い時には良いように、悪い時は皆で苦労を分かち合う」
という精神がベルクスの伝統です。そこから信頼関係が生まれます。
これは私達にとって無形の財産なのです。

「苦あれば楽あり」という言葉もありますが、悪い時には皆で苦労を分かち合い、
明るく前向きに仕事に取り組んできた結果、今日の50周年を迎えることができたのです。

去年の終礼でも話しましたが、大変な時に皆さんが元気に働く姿を見て、
これは大丈夫、この不況も切り抜けられる。
そして明日があるぞ!と、勇気が湧いてきた話しをしましたが、
期せずしてその通りになりました。

本当に感謝いたします。感謝のしるしに50周年記念賞与を出すことになりました。
喜んで受け取って下さい。皆んなで苦労を分かち合った結果の報酬ですので、
大切に有効に使って下さい。

余計なことかもしれませんが、「苦労は買ってでもせよ」という言葉もあります。
そのお金で苦労を買ってみませんか。2倍3倍になって戻ってくるかもしれません。
例えば自分への投資、自分が成長しなければ廻りを幸せにはできません。
具体的には本を読むとか、資格取得等も良いと思います。






さて話は変わりますが
久しぶりに今日は社内報プラッツ50周年記念号が発行されます。

原稿を依頼された社員も結構いたようですので、ご承知のことと思いますが、
私もその中で創業50周年にあたって、という一文を寄せています。
その中では、創業当時を振り返って、まだトキワ工業となる前の、
納品伝票には佐藤製作所と書いていた時代のエピソードについて語っています。

皆さんには初めて聞く話しかもしれませんが事実なのです。
宮下顧問ならある程度覚えているのではないかと思います。

宮下は当時、14才でしたから、まだ子供です。
昼間働いて夜中学校の夜間部に通っていました。義務教育ですよ!!
今ならさしずめ労働基準法違反です。

東京には各中学校に一教室夜間部というのがありました。
社会の実態がまだまだ貧しかったのです。児童憲章など、あって無きが如しです。
働かざる者食うべからずなんです。

当時の池田隼人蔵相(後に首相)が「貧乏人は麦を食え」と言った話は有名です。

今の人達にはとても理解できないと思います。
今の日本では、不況で失業者が5%と言われています。
大学を出ても一割ぐらいの学生が就職先が無いといって、
留年したり、大学院へ行ったりしています。

働く場所は必ずあるはずなのですが、
気に入らないからいやだと言って親のスネをかじって遊んでいるのです。
恥ずかしくないのでしょうか。

皆さん知らないと思いますが、国、公立大学では学生一人について、
一年で1000万円の税金が使われています。
私立大学でも費用は同じように掛かるのですが、こちらは授業料が高く、
親の負担が重くなります。足りないところは本人がアルバイトで学費を稼いでいますが、結果、ロクに勉強もしない学生も多いと聞いています。
私立大学といえども半分ぐらいは国からの補助があります。

これも税金です。少子高齢化の時代となり、働けない老人と、
働かない若者が増えてゆくとどうなるか、
間違いなく社会は停滞し国力が失われていきます。

昭和30年代からの日本の高度経済成長を支えていたのは、
中学を卒業したら集団就職列車に乗って地方から都会へと
働きに出た若者達だったという事は間違いのない事実なのです。

今日のような時代は本当に豊かな時代と言えるのでしょうか、
深く考えてみる必要があります。たった50年前と比較してみても、
豊かにはなったのですが、何かピリリと辛子が利いていない世の中になってしまったような気がします。

色々なことを考えながら社内報プラッツを読んで下さい。






次の話はベルクスの企業文化について考えてみます。

最初に話した「苦あれば楽あり」、何事も皆で分かち合うという精神が
ベルクスの伝統であり、そこから信頼関係が生まれて、それこそが無形の財産である。だからこそ大変な時も乗り越えることができたと話しました。
正しく経営方針の理念の実践であり企業文化の根幹なのです。

まだまだこれから先も試練の時があると思いますが、
ベルクスの企業文化の大きな柱に誇りを持って、
力を合わせてゆけば試練の壁も乗り越えて行けるものと信じます。
試練のひとつひとつを乗り越える度に、ベルクスという木の根が張り、
幹が太く逞しくなるのだと思います。

思えば50周年を前にして、リーマンショックという試練がありました。
まだ乗り切ったとは言えませんが、津波の第一波か第二波は乗り越えることが出来て、次の50年に向けての第一歩を踏み出せた意義は大きいと思います。


経営方針の理念の実践がベルクスグループの企業文化の根幹だとすれば、
次はそこから延びた、何本かの柱について話してみます。

先日、ある銀行のグループ企業のひとつに経営コンサルタントの会社があります。
その経営コンサルタントの会社の若い優秀な社員が二人、私の所へやってきました。

2時間以上のディスカッションの後で、帰り際に一人がトイレに入りました。
残った一人がトイレの前で私に質問をしました。
事務所の奥に掲げてあるTPMのスローガンを見て、TPMとは何ですかと聞くのです。

私はええ?と驚いて、TPMを知らないんですか?それでは教えましょう。
それは、トータル、プロダクティブ、メンテナンスの頭文字をとったもので、
これこれしかじかと説明しているところへ来たトイレを済ませたもう一人に聞きました。

あなたは知っていますか?と。そうしたらその人も解からないと云うではありませんか・

そこで私は言いました。あなた方は大変優秀な人だと思いますが、
製造業の経営コンサルをするなら、このくらいの事を知らないようでは話になりませんよ。それではTQCとは何の頭文字ですか、意味を説明して下さいと言ったら、二人ともこれも勉強不足で解かりませんとの事。

木を見て森を見ていないんですね。自分の担当分野については、
すばらしい知識を持っているのに、周りの事を見ていないのです。
これでは話しになりません。

私は言いました。トイレの前での長話しも何ですから、
次に会う機会があったなら宿題にしましょう。
ついでに管理という言葉の意味についても、
簡潔に解かり易く説明できるように調べて下さい。と言って別れました。
取引先の銀行の勧めで会うのは2回目でしたが、3回目は無いと思います。
商談はこれで終わりです。

私達もこういう事のないように全体を見て物が言えるように
普段の勉強が大事です。気をつけましょう。

何が言いたいのか、賢明な皆さんは解かってくれたと思いますが、そうなんです。

TQC、QCサークルは今はTPMと変わりましたが、
改善提案、5S運動、TQM委員会、安全衛生委員会、みどり会、トキワ会、など、
これらはすべて企業文化なのです。なぜならば、これらはすべて付け焼刃ではなくて、私達には永年に渡り培ってきた歴史があります。
これらを企業文化と云わずして何と云えばいいのでしょうか。

そのくらいの自負を持たなければ本物ではありません。

私達は本物の企業文化を持った会社なんだという事を、
この50周年で認識を新たにして下さい。
先輩社員は、後輩社員にこのことをしっかり伝えて行く義務があります。

文化と文明について辞書を引いてみました。

文化とは・・・人間社会が永年掛けて作り上げた、物心両面の成果。
人間の精神的生活に関わるもの、更には、共感し、習慣となっているもの、とあります。

文明とは・・・それらを土台に技術的発展をして世の中が開けて生活が便利になること。近代社会の状態、主として、物質的な面を云う。

その他奥の深い解釈もあるようですが、参考までに。






今日は次の50年に向けて、新たな出発の日となりますが、
何を心掛けていかなければならないかについての話しをします。
今までの話しと重複することもありますが、今しばらく、確りと聞いて下さい。

7月1日付けで人事異動がありました。異動というより昇格人事でした。
これからもありますが、いよいよ世代交代の準備に入っています。

今回めでたく管理職となった人、監督職となった人、
新任の主任になられた方々には、まずはおめでとうございます。

喜びとともに、責任の重大さをヒシと感じていることと思います。

特にすべてのリーダー職以上の方、つまり長と名の付く係長以上の人は、
一般的にも管理監督職と言われ、部下に対しては指導監督の責務を負っています。
つまり、責任と義務があるのです。

自分は有能だから、そうなったなどと勘違いしないで下さい。
管理監督職としての責務が全うできるかどうか、
選ばれて試されているんだという自覚が先ず必要です。
エラそうな口をきいたり、命令口調では人は動きません。

実は上司より部下の方が、優秀だなんていう事は、世の中にはザラにあるんです。
私達の会社も同じです。先程、「管理」という言葉の意味について宿題を出した事を話しました。この際だから私達の会社での統一見解として、
理解しておいてほしいのですが、確りと覚えて下さい。

いいですか、管理とは、「責任を持って取り締まり、面倒を見ること」です。

これは勝手な解釈ではありません。
何冊かの辞書を引いた中に、この言葉があったのです。私はこれだ!と思いました。
指導監督、つまり取り締まっても責任は管理者にあるのです。
更には良く面倒を見なければなりません。これが「管理」という意味なんです。
解かり易いでしょう

日本の代表的な辞書である、広辞苑や大言海にも、
このような言葉での解釈はありません。
意味は同じなんですが、辞書にも色々な表現の違いがあるんです。

ですからそんなことは面倒くさいなどという管理者は、どんどん降りてもらいます。

そんなことにならないような、真のリーダーシップを発揮してほしいのです。
ですから、部下となった人にも、面倒を起こさず、
努力協力を惜しまないようにしてほしいと思います。
仮に面倒を見てもらうようになった時でも、「大きなお世話だ」などと
言ってはいけません。素直な気持ちで指導を受けてほしいのです。

最近読んだ本の中に、大変参考になる良い言葉を見つけました。
それには、「努力は足し算、協力は掛け算、協力しないとゼロ」と云うんです。
一人ひとりがいくら努力を積み重ねても、非協力的な人がいると、
努力した結果もゼロになってします。という事なんです。

一人ひとりが努力と協力をパーフェクトに行えば、
100人の会社は100X100ですからイコール10,000になります。
パーフェクトということは至難の業ですから、一桁取っても1,000になります。
つまり、100人の会社も1,000人の会社と同じ力が発揮できるということなんです。
折角努力したことがゼロにならないようにしなければなりません。

管理監督者は、みんなが持っている力を充分に発揮できる、
働きやすい職場環境をつくることから始めて下さい。






ここいらで息抜きに、サラリーマン川柳コンクールというのがありまして、
面白いのでいくつか読んでみます。おかしかったら笑って下さい。

第一位は、「仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い」だそうです。皆さんの中にも、奥さんに仕分けされている人もいるのかな。

第二位は、「先を読め! 言った先輩 リストラに」不況なんですね。その他同じようなのに、「先を読め! 読める訳ない 先が無い」全く景気の先行きも不透明ですからね。

その他、「逆らわず いつも笑顔で 従わず」こんな社員はいませんね。

次は、「ようやった! 事情変わった なぜやった」こんな上司がいたらたまりません。

次は、「ハイ!できます 上司は言うが やるのオレ」お手本を示してほしいですね。

次は、「片付けろ! 言った上司が 片付いた」正に5Sの究極ですね。

次は続けてふたつ、「上司ども パソコン見ないで 現場見ろ」 「メール打つ 早さで仕事 なぜ出来ぬ」パソコンは仕事の上で欠かせませんが、パソコンに振り回されたり、遊んでいてはいけません。

最後に、「課長いる? 返った答えは いりません」こんな事では、
管理監督者失格ですね。

さて息抜きになりましたか。
正にブラックユーモアといいうか、中には、ギク!とした人がいたかもしれません。

以上はサラリーマン川柳傑作選の中にあった川柳を、10作程読んでみましたが、
まさに現代を生きるサラリーマンの悲哀というか、世相を見事に映す鏡ですね。



今日は創立50周年記念朝礼ということで、
最初に会社の近況と50周年記念賞与の話し。
二つ目は、社内報プラッツ、そして昔と今。
三つ目は、企業文化について、私達の会社には、本物の企業文化が沢山ある、誇りを持とう。
四つ目は新たな出発に向けての心構えについて。この中では、管理監督者とは、又管理とは、そして努力は足し算、協力は掛け算の話し。最後は息抜きという事でサラリーマン川柳のブラックユーモアで笑いつつ、襟を正して話しは終わります。

暑い中大変ですが、安全第一で水分をしっかり取って熱中症等にかからぬように頑張ってください。週末には納涼祭があって、長い夏休みとなります。納涼祭には皆さんと共に楽しく過ごしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

以上で50周年記念の朝礼を終わります。ご清聴ありがとうございました。




2010年08月02日